絵描き
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猫は自分を撫でようとする絵描きに初めて気付いた。自分に差し出された手を見て、次に絵描きを睨むと、威嚇しながら後ずさりした。 「あっ」 絵描きが小さく声を上げると猫は一目散に車道を渡って反対側の歩道に駆けた。 「また見にきて。明日もいるから」 絵描きの声に反応して猫が振り向く。翡翠色の瞳が光に反射して輝く。 黒い毛並みをした猫は鍵尻尾を揺らしながら夕焼けの町にきえていった。
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