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四季に恵まれ、緑に満ち、海に囲まれた島国──ジング。
かつて八国がしのぎを削っていた島国の大半を占める木々は、鬱蒼と生い茂る訳ではない。
木漏れ日が降り注ぎどこか暖かい印象を感じさせる木々に無駄な伐採等は一切なく、何百年という歴史がある木々は少ないが自然そのものである姿は神秘的ですらある。
同時に、歴史を感じさせない木々、それは即ち戦争の爪痕を感じさせた───
朝日が昇ると鳥が囀り、一日の始まりを告げ――
夕日が島全体を染め上げ一日の終わりを告げる。
ジングに暮らす人々は、そんな自然の掟に逆らう者はいない。
朝日と共に起き、闇夜と共に床につく。
電気の明かりは一つも無く、暖かい明かりを帯びる火で対応する。交通手段は主に馬である。
不自由ではあるが、人々の顔から笑顔が消えた事はない。
機械や兵器等とは無縁の島ーーそれが“今”のジング。
だが視線をずらせば、あちらこちらに過去の兵器が朽ち果て、そのまま取り残されている――
例えば移動手段や通信手段に使われていたであろう鉄機械。
戦闘に用いられたであろう搭乗型の二足歩行兵器。
さらに極少量ではあるが、かつては大空を牛耳っていたであろう大型の空中戦闘艦ーー
等等の兵器が木々に覆われ、その身を隠しつつある。
これらの兵器を見るに、かつての機械文明を垣間見る事ができる。
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