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「そうか……まぁな、分からなくもない。だが──」
「分かる、分かってるつもりよ。心配しないでラルフ」
言葉を遮りそう言った後ラルフは難しい顔をしながらも、
「何かあれば相談にのる。私も政略結婚だが今は幸せだぞ?」
そう言葉を残して去った。
ラルフが去ってから、一人昔を思い出していた。彼がこの城に来た当初を。
近寄りがたい難しいオーラを出していたラルフだか、今では実兄かのように振る舞っているのだ。それが何とも懐かしく彼女は思わず口が綻ぶ。
再び大通りを見つめ物思いに耽っていると、入れ違いのように今度は爽やかな声が彼女の耳に届いた。
「結婚が嫌いかい?」
声だけで誰か分かったライラだが、あえて大通りを見つめ続けた。背中で語ったのだ。
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