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プラチナメイルとテラスの床がぶつかり合う小気味よい音が彼女の真横で止まると、その人物から驚きの言葉が発せられた。
「僕もだよ。ライラ姫」
その言葉に思わず横を向いたライラは言葉がでない。
少し険しい顔を向ける事しかできなかった。互いの国に少なからず遺恨は残っているのだろう。
彼こそ雷の名がつく国、オーガニア第一王子のフラーク・オーガニア。
髪色は白に近い金色で清潔感があるアシンメトリー。白く輝くプラチナメイルには、背に自国オーガニアの紋章が入っている青のマント。
そして腰にはオーガニア騎士団が愛用する、片手両刃剣のプラチナソードが邪魔にならない装飾で彩られた鞘に収まっている。
その姿は、誰しもが憧れる人物像。正に王子様である。
「政略結婚なんていうのは無い方が良いに決まってる。上手くいく訳がないって思ってた。先日まではね」
そう言うと笑窪を作り、まるで真夏の向日葵のような笑顔を見せた。
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