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ライラは大通りの人々に視線を戻すと、呟くように空気を震わす。
「貴方が何を言いたいかわからないわ。私の父と、あなたの父が決めた事とはいえ、本当につい先日会ったばかり……それだけで私に好意を寄せてると言うの?」
ライラはそう冷たくあしらうが、フラークは速答する。
「おかしくはないと思うよ? 一目惚れから始まるっていうのも“あり”じゃないかな? 今では父に感謝してる」
フラークはライラの手をとると、真剣な眼差しで見つめた。
それに釣られるように彼女も目を合わす。
「ライラ。この気持ちは僕個人の気持ちだ。今は……この一瞬は、国を忘れ僕の気持ちを伝えたい……君が好きだ。命に変えても、君とこの国を守りぬく!」
見つめたまま動く事ができないライラ──
自身の頬が高揚していくのは分からない。
こんなにストレートな愛の告白をしてくる男性に出会った事がなかった彼女は、自身に芽生えた感情に気付けないでいた。
もごもごしている姫にフラークは優しく語りかけた。
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