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「徐々にでいいんだ。徐々にお互いをわかりあおう」
彼女の手を離し、今度は少しはにかみながら続けた。
王子は姫の気をなんとか引こうと提案した───
お披露目の後、城で行われるパーティーで、
“互いの悪い所を見付け、後で話し合う”
といった向日葵の笑顔を持つ、フラークらしい可愛い提案だった。
「どう? それでも足りなかったらオーガニアでお披露目の時にもまた悪いところを見つけて話し合う。
プロポーズはライラが納得した時にするよ。
まぁ結婚は決まってるんだけどさ。気持ち的にね」
微笑む王子に対して歯切れが悪い一言しか返せないライラだが、彼は十分といった感じでうなづいた。
そしてタイミングを見計らったように、城の世話役が二人にお披露目の時間が差し迫る事を告げに来た。
「時間のようだね。
王都全体にグランザールが誇る防御システムが作動してたからそろそろだと思ってた」
フラークは優しい笑顔を向けるが、ライラは顔を紅く染めて俯いたままであった。
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