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これ以上の侮辱は許さないと言葉をあらげたのは、騎士の一人。黒髪の角刈りで筋骨たくましい―
レブン・グラス
である。騎士団の中で唯一の一兵卒からのたたきあげ。
他の騎士は、家柄で小さい頃から英才教育を受けエリート騎士になったのに比べ、彼は苦労人である。
だがその分人情に溢れ、兵からの信頼も厚く期待の星として現在にいたる。
彼の言いたい事は痛いほど分かるが、このような事で戦争になるのだけはなんとしても避けたいヘクトルは、我慢しろと目で諭した。
「……分かりました」
素直に引き下がるのもまた、ヘクトルの人望の厚さと、ヘクトルならどうにかしてくれるといった感情からきている。
しかし、グランザール兵は尚も続けた。
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