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「んん? 管理がなんだって? まるで俺達がいけないみたいな事言うじゃねーか」
その時、グランザール城内南詰め所の木製扉が、壊れるぐらい勢いよく開く。同時に室内は怒声で支配された。
中に入ってきた人物を見て、ヘクトルは胸を撫で下ろした。
“これで助かった”
そう思ったのだ。
入ってくるなり兵達に怒声を浴びせたのは、部下を数人連れた戦術総司令官ラルフ・グランザール。
兵達は顔を引き攣らせ、最敬礼をしながら額に冷や汗を浮かべた。
ラルフの怒気で酔いは覚め、自分達の行動の何が逆鱗に触れたのかを模索する。
ラルフはそんな兵達を余所に、騎士団一行に体を向けた。
「申し訳ありませんヘクトル王子。事情は部下から聞きました」
冷静な兵士が事の重大差に気付き、上司を呼びに行った所ちょうどラルフに出くわしたのだ。
ラルフの言葉に出てきた“王子”という単語にグランザール兵、数十人はさらに全身から汗を噴き出し自分達のしでかした重大性に漸く気付く。
兵達は極刑をも覚悟した。さらに王子の逆鱗にも触れていれば……
そう考えると、頭には死がチラつく。
オーガニア第二王子と言えば“武神”と名高いのである。この場で切り捨てられても、なんら不思議ではないのだ。
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