全ての始まり

17/45
前へ
/251ページ
次へ
 ラルフはもう一度、兵の非礼を詫びてから鍵の説明を申し訳なさそうにした。  その説明とは、詰め所に保管してある鍵は“フェイク”という事実だった。  騎士団に数秒の沈黙が流れ、それを破るように一人の騎士が口を開けた。 「で、では……我らは、単にからかわれていたと?」  ラルフは申し訳ない顔で無言でうなづき肯定すると、騎士団で大爆笑が巻き起こった。 「はっはっはっはっ! やってくれる!」 「くっはっは! グランザール恐るべしだな! 策士揃いだ!」  騎士団の笑い声に対して、グランザール兵士は少しも顔を動かさない。引き攣るばかりである。  自身の過ちを悔いているのだ。それほど身分不相応な事を王子にやってしまったと自覚していた。
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加