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ラルフはもう一度、兵の非礼を詫びてから鍵の説明を申し訳なさそうにした。
その説明とは、詰め所に保管してある鍵は“フェイク”という事実だった。
騎士団に数秒の沈黙が流れ、それを破るように一人の騎士が口を開けた。
「で、では……我らは、単にからかわれていたと?」
ラルフは申し訳ない顔で無言でうなづき肯定すると、騎士団で大爆笑が巻き起こった。
「はっはっはっはっ! やってくれる!」
「くっはっは! グランザール恐るべしだな! 策士揃いだ!」
騎士団の笑い声に対して、グランザール兵士は少しも顔を動かさない。引き攣るばかりである。
自身の過ちを悔いているのだ。それほど身分不相応な事を王子にやってしまったと自覚していた。
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