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詰め所内は今だ笑い声が絶えない。
余程つぼにハマったのだろう。己がいかに滑稽だったか考えると笑えてくるのだ。
笑い声が絶えない中、
「申し訳ありませんでした!」
突如大きな声が響いた。
騎士団の前まで赴き、非礼を全力で詫びたのはもちろんグランザール兵士。
自身の保身からくるものではなく雷鳴騎士団に心から感服したのだ。自分達がした事をもう笑い飛ばすその器の大きさに――
一人が許しを請うと、二人、三人と騎士団の懐の深さに感慨した兵士全員が騎士団にひざまづいた。
黙って事の成り行きを見守っていたラルフは苦笑いをうかべ、一人呟く。
「やれやれ。オーガニアに再度攻め込まれたら完敗だな」
ヘクトルがその言葉を拾い微笑む。
「良い兵士達ではないですか。
己に素直な兵士は上達も早い。さらに“神算の覇者”もいるんです。痛手を負うのはこちらでしょう」
兄フラークと同じ笑顔を浮かべながらラルフを見た。
「その呼び方は、おやめください。
兵士が勝手につけたあだ名のようなもの故」
ラルフも恥ずかしそうにはにかむが、まんざらでもないようだ。
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