全ての始まり

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 一雨ごとに寒さを感じさせる季節に、冷たい風が吹く。  そんな風を感じながら、庭の椅子に腰掛ける一人の老婆の耳には、風と共にかわいらしい声が届いた。 「―ちゃぁん―― おばぁちゃぁん」  その声が耳に入った老婆は、自然と優しい笑みを浮かべる。  そして、歳相応の話し方ではあるが“いまだ”綺麗な透き通る声で自身の居所を告げた。 「あ、居た! おばあちゃん、この前のお話しの続きぃ」 「はいはい。外は寒いからお家に入りましょうか」  老婆はそう言うと、孫であろう女の子と共に家に入り、暖炉の前までゆっくりと移動した。  ここはグランザール。  かつて、グランザール王都があった場所から程近い木造の一軒家。  手入れが施された庭。門からのストロークは煉瓦作り。主のセンスを感じさせる。  そして、よく日差しが入りこむ暖炉の前には、老婆と女の子が椅子に座る姿があった。
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