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島のほぼ中央を支配し、防御に特化している国。
水の秘玉を持つグランザール。その一人姫である――ライラ・グランザールと、
グランザールから見て南一帯を支配し、一撃必勝を謡う国。
雷の秘玉を持つオーガニア。その第一王子である――フラーク・オーガニア。
二人の挙式が目前と迫っていた。和平を志すグランザールがオーガニアに歩みよった結果である。所謂、政略結婚。
国民は政略結婚と知ってはいるが、グランザールとオーガニアの国民は喜び踊り明かし、はしゃいだ。
二国間の戦争締結という事に他ならないのだ。
水色掛かる白色を基調とした、壮大な城の大きなテラスから、三日三晩続くであろう国の騒ぎを複雑な思いで見る美女が一人。
髪は金色のロングで、豪華な水色のドレスに引けをとらない美しい顔だち。
彼女こそ当人のライラ・グランザールその人である。
「はぁ。国のため……かぁ」
溜息を供にして出た言葉は、国を思うがために出た言葉。そんなライラに近寄る影が一つ。
「ライラ、ここにいたか。
王子が捜してたぞ?」
壮年の男がそう言いつつ近寄るが、ライラは振り返る事なく頬杖をつくと、またもや溜息を吐いた。
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