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城の前を通る石作りの大きな道に、向かいあう様に立ち並ぶ煉瓦作りの商店や家家。
中には大理石で造られた高級なホテル。さらには国の技術力を感じさせる電汽車が遠くで走っているのが見える。
通称“王都大通り”に群がる人々を眺めるライラに、後ろから声をかけたのが――
ラルフ・グランザール
旧姓はウィングル。
西の隣国ウィングル王の実弟である。
「もうすぐで国民にお披露目だぞ? 王子とは仲良くできそうにないか?」
そこでライラは漸く振り向くと溜息混じりに話す。
「今まで人を好きになった事とか……
それに今日は父上も母上もいない。大通り二人で歩くだけ。なんだか……
ラルフもいつもどうりの格好だし」
その言葉にラルフは、一応正装なんだがと思いつつ、お気に入りの眼鏡を無表情で正した。
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