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「瞳、大丈夫か」
「は、はい。混乱していました」
昭仁は瞳に鏡を手渡すと、こう言った。
「お前には、お前だけの力がある。それを知る時まで、鏡はお前がもっているといい」
そして、瞳は自分の部屋に戻った。
「私だけの力…ねぇ」
瞳は鏡を布団の上に置き、読みかけの小説に手を伸ばした。
『新撰組』
本棚には、そんなタイトルの本がずらりと並んでいる。
瞳は新撰組に憧れを抱いていた。
兄達によって、誰にも注目などされなかった。
何かを動かす、そんな勇気もなかった。
幕末で、幾多の修羅場をくぐりぬけ、最後まで誠を貫き通した新撰組。
そんな人物になりたかったのだ。
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