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街に出た俺達は、買い物したりゲーセンに行った。
翼がゲーセンに行ったのが初めてなのは本当みたいで、クレーンゲームにかじりついてやってるのを見た俺と翔は大爆笑した。
一通り遊んだ後、俺達は昼飯を食べる為に店に入る。
「(またかよ……)」
店に入った瞬間、店にいた人間がこっちを見る。
ゲーセンに行った時も、道を歩いている時も、俺達は見られていた。
いや、正確には翼を、だ。
翼は特務科の制服だから自分が天闘だって言ってる様なものだし。
「お客様席は店内と外がありますが?」
店員がお決まりの事を言って来る。
とりあえず中は見られて気分が悪いから外で、と俺が言うと店員は外にあるテーブル席へ案内した。
俺達はそれぞれ席に座る。
「ふぃー疲れた」
翔がパタパタと手で仰ぎながら言う。
「だな」
「だねぇ」
俺と翼も同意する。
すると翔は翼をじっと見つめる。
翼もどうかしたのかと驚いた顔で翔を見ている。
「えっと……どうしたのかな?翔くん」
「いや、翼って天闘には見えないなってさー。何かオレ達が大人から聞いた話とまるっきり正反対じゃんかー」
何気ない顔で翔は言う。
まさに俺と同じ思いだった。
「君達にとって天闘がどういう風に言われてるのは大体聞いてるよ」
「何かさ言い方酷いと思ったなオレは。今日翼と半日過ごしてさ~」
「それはありがとう。……でも、」
翼はニコッと笑って席を立つ。
その瞬間、翼は翔の背後に立って翔の頭に銃を突きつけた。
突然の事で俺と翔は固まる。
というか見えなかった、今の動き。
料理を持っていた店員の悲鳴が聞こえた。
「ほら、僕は人間に対して平気で銃を向ける事ができるよ。……ちなみに此処で翔くんを殺しても僕は書類を一枚書くだけで許される。……これでも化け物じゃないって言えるかい?」
翼はいつもの表情だった。
翔はしばらく黙ってから、
「それでも、オレは翼は化け物じゃないって思う」
淡々と翔はそう言い放った。
「そう……ありがとう」
翼は銃口を翔から離した。
その顔は涙が出ていた。
「ったくさー、化け物は泣いたりしないだろ?」
翔は笑って翼を見る。
そうか。
翼は確かめたかったんだ。
翔の本心を。
自分が興味半分で見られるのが嫌だから。
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