始まり

14/18
前へ
/67ページ
次へ
次の日。 「おっはよー!」 教室に入って俺が元気よく挨拶すると、何人かが返事をしてくれる。 俺は自分の席(因みに窓際の一番後ろ)にカバンを置いてぐるっと教室を見渡すと、何か違和感を感じた。 ……何か机減ってないか? そう思いながらも椅子に座ると数人のクラスメイトが俺の所にやって来た。 「はよー、蒼」 「おはよ。ちょっとさ、俺の気のせいかもしれないけど机減ってね?」 「さすが、蒼だなー。昨日付けで2人も転校したんだってよ」 男子の1人が教えてくれた。 なるほど。 机が少ないから違和感を感じたんだ。 「そりゃあさー……」 もう一人の男子が呟いて、窓の向こう側を見る。 その視線の先は壁に覆われた校舎……特務科の校舎だった。 「いくら人材育成のこの学園でも壁の向こうに人間兵器の化け物がうじゃうじゃいたら、転校したくもなるだろ~?」 そいつは悪びれもなく笑いながらそう言った。 俺はおもむろにそいつの胸ぐらを掴んだ。 「天闘の事……化け物って言うな!」 俺の声が教室内に響く。 騒がしかった教室が一気にしーんとなった。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加