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「ただいまー」
「お帰り~」
俺が寮のドアを開けると、落ち着いた優しい声が聞こえた。
その声は、俺のルームメイトの葉山 翼(はやま つばさ)。
ルームメイトっていう事はつまり、翼は天闘の一人だ。
「今日は部活の助っ人??」
「そー。何かつっかれた」
俺は今日、部活の助っ人として、色んな部活に顔を出していた。
ったく、ウチのクラスの連中は俺が帰宅部なのをいい事に、色々誘いに来る。
まぁ、俺も断ればいい話なんだけど、必死になって頼まれると……こう断わる事が出来なかった。
「じゃあ、僕、お茶入れるね。蒼も飲むでしょ?」
「飲む飲む!翼のお茶美味いし」
「お世辞言っても何も出ないよ~」
翼は笑ながら部屋に付けられてる簡易台所へ向かう。
この、普段虫も殺しません!みたいな雰囲気漂わせてる翼が天闘だって、自己申告しない限り誰も思わないだろう。
だって、俺達が大人達に教えられて育って来た天闘という存在は、残忍で残酷、有無を言わさずミナヅチを殺す兵器。
翼を初めて会った時、天闘と自己申告されても俺は最初は信じられなかった。
そのうち翼と過ごす日々の中で、俺の中の天闘の印象は変っていた。
天闘と言えど、人間兵器と言われても普通の人間と変わらないって。
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