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けれど、出発前に顔も見ずに告げられた「見つからないように抜け道から行けよ」という言葉。
「……あれは、先生に怒られないようにじゃない」
「サラ、あの」
「命がけで戦う場所で、私は邪魔だったのね」
「ち、違うよサラ! ブラックは――」
「やだ! 聞きたくない!」
両手で耳を塞いだサラはかぶりを振り、テッドから数歩離れた。
その目からはたくさんの涙がはらはらと零れ落ちていく。
テッドの顔がひきつったのと、サラの金糸の長い髪がぶわりと風に舞ったのはどちらが先か。
一旦は立ち上がりかけていたテッドは尻もちをつき、ずりずりと後退していく。
落ち着きなくあわあわと戦慄く唇は、ひっくり返った高い声を絞り出した。
「サ、サ、サラがキレたぞー!!」と。
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