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突如響いた叫びに、全員が動きを止めてサラに視線を移す。
学園で成績上位であるサラは教師からの評価も良く、おとなしく品行方正で手本となるような生徒だ。
ただひとつだけの欠点を除いては。
……サラは、暴走するのだ。
ただ暴れ回るというわけではなく、彼女自身持て余すような強い魔力は時に感情に振り回され制御できなくなってしまう。
以前も同じようなことが起きて学園中が混乱の渦に飲まれたため、その事実は誰もが知っている。
当時は教師たちが数人がかりで抑え込み、時間をかけて収束させた。
だが、今回はどうだろうか。
ブラックもテッドも成績は悪くないが、魔法に関してはサラに勝てない。
当然、彼女を抑え込むなど到底できはしない。
頼みの綱はサラを凌ぐ強い魔力を持つリサだが――彼女はまだ、見つかっていない。
「ブラック、あれ誰」
「は?」
頭を抱えるブラックの脇を、緑色の髪の子どもが通り過ぎていった。
気配すら感じなかったその動きを茫然と見送るも、ブラックはすぐささま我に返った。
「おい! 危ねえから近付くな!」
「でも、早く姫を止めないと死者が出ますよ。それに、印がとれてしまう」
「はあ?」
理解しがたい言葉を放ち、子どもは再び背を向けてしまう。
小さく舌打ちをして追いかけようとしたが、ぐっと強い力で腕を掴まれブラックはその場で無駄に足踏みをした。
魔力の暴走はとどまることを知らず、竜巻のような渦を作りそこらに散らばった瓦礫を巻き上げていく。
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