Prologue

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「……悪かった」  いつだって不遜で、自信家で人に謝ることなどまずないブラックは素直に頭を下げた。  言い訳も誤魔化しもない謝罪の言葉に、サラの胸の奥がじくりと不可思議なむずがゆさを訴えかける。 「そろそろ、よろしいか」  眼帯の男が、瞳を細めて遠慮もなく割って入った。  ようやく男の存在に気付いたサラは、上から下までまじまじとその姿を見つめ、息を飲む。 「あなたは、近衛部隊の……」 「ええ」  男の答えにサラは花開くような笑顔を浮かべ、何度も礼を繰り返した。    ――レイガス国近衛三部隊。  それは三人の隊長から構成される最強の部隊。  その中でも、目の前の男は圧倒的な強さを誇る第一部隊の隊長であった。  まさか隊長自ら救助活動に来るとは――と手放しで喜ぶサラに、男は咳ばらいをひとつ落とし跪いた。 「申し遅れました。私は第一近衛部隊隊長――レオン・シルバーハルト。こっちの緑頭は副隊長のケイ。我が主、ルカ様のご息女をお迎えにあがりました」 「え……?」 「姫様。ルカ様がお待ちです。城へと戻りましょう」  城付きの兵士が主と呼ぶ男――それは、国王以外に他ならない。
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