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◇◆◇◆◇
爆発前にブラックたちが奔走したおかげか、時間が経つにつれ多くの生徒たちが救出された。
だが、日が暮れて瓦礫の奥深くを捜索すればするほど教師たちの無残な遺体が見つかっていく。
テッドの言葉を疑っていたわけではないが、信じたくはなかった事実を突きつけられ、サラの胸中に深い悲しみが広がる。
「……なんで」
ぽつりと零し、俯く。
生存者が見つかるたびに喜び、次いで絶望がサラを襲う。
「なんで、リサは見つからないの……」
悲しいことがあっても、リサが傍にいれば耐えられるのに。
冷え切った指先を温かな手で包んで「大丈夫」と言ってくれるだけで、前を向けるのに。
なのに、リサは傍にいない。
すでに辺りは夕闇に包まれ、救助活動を続けてきた生徒たちには疲労が色濃く見える。
大半の生徒が救出されても、誰もリサの所在を知る者はいない。
「サラ!」
ふいにサラの身体が傾ぎ、ブラックが手を伸ばした。
無事に抱き留めはしたものの、サラは涙を零したまま意識を失っていた。
「限界だ。城に向かおう」
有無を言わせぬ力強い声で言い放ち、レオンは移動の支度を始める。
あとは彼らに任せようと続けられた言葉に振り返れば、捜索を続ける兵士たちが揃って頷いていた。
青白い顔で目を閉じたサラに、ブラックの中で罪悪感が募る。
リサはいつだって堂々としていて負けず嫌いで。
だからこそ、「何置いてってんのよ!」と憤慨しながら追いかけてくる姿が容易に想像できるのに。
城へ向かう長い道のりで、その姿を見ることは叶わなかった。
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