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「ああ、あの、あの、なんですか、なにっ」
「サラー! ああああサラー!!」
「ちょ、おじさん何やってんの! ちょっ、ブラック!」
騒ぎに眉間の皺を濃くしたものの、寝起きの悪いブラックはまだ夢の中にいる。
緊急事態だとその足をげしげしと蹴っては、テッドは男をサラから引きはがそうと奮闘する。
だが、男はサラの頬に自身のそれをこすりつけ、離れようとしない。
「ブラック! サラがやばいってば!!」
「サラが何だと!?」
先ほどまで唸っていたのは何だったのか。
バチリ、と音がしそうなほど目を見開き、ブラックは飛び上がった。
そして、視界に広がる光景にまっくろな瞳を見開いた。
「は? 誰?」
戸惑いながらもブラックは驚くほどの速さでサラから男を引きはがしその腕を捩じりあげた。
サラの無事を視線で確認し、低い声音で続ける。
「サラに何の用だ。変態野郎」
「イテテテ! 離せクソガキ! 実の娘抱きしめて変態だったら世の中変態だらけだバカ!」
「実の、娘……?」
予想外の言葉にブラックの手が緩み、その隙にと男は身を低くして逃れ、ふんぞり返った。
「そうだ! 俺がこのレイガスの王、ルカ様だ!」
わっはっはっは! と豪快な笑い声まで続き、ブラックは不審がる感情を露わにしてサラを背に隠す。
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