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空色の瞳が驚愕に揺れ、認めたくはないとあらゆる可能性を口にする。
だが、そのたびにテッドはかぶりを振って否定を繰り返す。
その顔には明らかな哀しみが宿り、彼もまたぎりぎりまで認めたくはないともがいたのかもしれない。
「俺たちを守ろうとしてる人間が、攻撃してくる?」
「そんな……」
「ブラックの言う内側から、っていうのは結界を張ってやり過ごそうってことだったんだけどね。何人も、それを妨害されてるのを見たよ。……死んでもおかしくはない、攻撃魔法を使って」
「っ、……」
「あいつらは、逃げも隠れもしないままずっと執拗に攻撃してきてた。自分の命なんて、どうでもいいって感じで」
レジエン学園のほどんどの生徒が親元を離れ、幼い頃から寮で暮らしている。
そのため、彼らにとって教師は師であるとともに親に近しい存在でもある。
物心ついた時から学園で暮らしていたサラにとってもそれは同じで、脳裏には何人もの教師たちの顔が浮かぶ。
時が経つにつれ、次々に生徒たちが救出されているが、未だ教師の姿を目にすることはない。
それが意味することは、言葉にせずともわかる。
石造りの頑丈な学園が形を無くすほどの爆発だ。命を守ろうとしない者が助かるのは、ただの奇跡でしかない。
「……どうして、こんなことに……」
「ブラックがいなけりゃ、俺たちも全員死んでただろうね」
瓦礫の山を掘り起こそうとしているブラックの背に、疲れは見えない。
彼は何を知り、どうやってたくさんの生徒の命を救ったのかも――自らサラに話したりはしないだろう。
いつも皆の中心にいて頼られ、先を行くブラック。
決して埋まることのない彼との距離が――悲しい。
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