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「わかったわかった。」 その女子は軽やかにフェンスから降り、世羅を見つめた。 「さて、本題に入りましょうか。」 その面影には、お昼時の初々しさは感じられなかった。 「まずは自己紹介しようかな」 (ああ、これが普通の男子だったらこんなに落ち着いていないだろうに…) 世羅はその女子の目を見ながら、そう思った。 なかなか可愛いじゃん。 でもこれはきっと、告白とかじゃない…… 「私、東雲 紅(シノノメ アカ)。あなたの隣のクラスよ。」 紅は、腰までの長い髪をツインテールにして赤いゴムで留めている。 正直、大きな目もその髪型もスタイルも、世羅の好みそのものだった。 でも、これはきっと告白なんかじゃない… (期待しても後悔するだけだぞ、世羅。) 世羅は自分にそう言い聞かせた。
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