ひとり旅

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『不治の病』 次に訪れたその村は 死神に魅入られていた 近年この国の至る所で 1度かかったら 2度と治ることのない 恐ろしい病が流行っている 未だ完全な治療法が見つかっておらず 僕としてもかかりたくない病気である 町を歩いていた時に まだ発症していない しかし死期の近そうな老父に出会った 「少年よ キミはいつまで この町にいる気じゃ?」 「……さぁ? この町での仕事が終わるまで ……ですかね?」 「そうか…… 早い所この町から去った方が良い 直にここは国によって閉鎖され 静寂の町となるじゃろう」 「アナタはどうするんですか?」 「儂はここに残る 生まれ育ったこの町で 死を迎えられるなら本望じゃ」 死に急ぐ気なのだろうか? この老父は 他人に言われなくとも 僕はやるべき事を終えたら すぐにここを発つよ 「さよなら 永遠に 死神に魅入られた町よ」 Goodbye through all eternity. [永遠にさよなら]
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