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『無知』
僕がいる組織は
“あの偉い男性”から依頼を受け
依頼先の世界へと渡り続ける
それが全ての組織の人間の仕事だ
それ以上でも
ましてそれ以下でもない
何かしらの理由で
組織に入る人間の中には
“あの偉い男性”について
何者か知ろうとする者もいる
以前
“あの偉い男性”について探っており
共に旅をしていた者がいた
「俺はアイツが何者か
わかったかもしれない」
依頼先へ行く前に
そう言っていた彼だったが
任務先でヘマをしたようで
帰らぬ人となった
労いの言葉を掛けた“あの偉い男性”だったが
去り際に小さな声で
「随分とまぁ抵抗したんですね」
そう呟いた
その一件以来
僕は“あの偉い男性”がよくわからなくなった
Ignorance is bliss .
[知らぬが仏;無知は至福なり]
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