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青年は頭の締め付けられるような痛みと吐き気を感じた。
不快感に苛立つ青年は洗面台を叩く。
次の瞬間、青年の目は自然と女を探していた。青年の視線はあちらへこちらへと宛てもなくさ迷う。
そこで女がいないだけで酷く動揺している自分がいることに青年は気付く。
非常食に感情移入だなんて化け物のすることではない。青年は込み上げる嘲笑を止めることができなかった。
青年はグラスを掴み、そこに並々と水を入れると、一気に煽った。
胃が重く、腹の底から沸き上がるような痛みを感じた。
夜までには時間がある。
青年はもう一眠りを決め込んで、洗面台を後にした。
ベットに一歩一歩近付いていく。緩慢な動きだった。
ガタンガタンと上から何度も大きな音が青年の耳に届く。
女が模様替えでもしているのだろうか。
青年は首を振った。青年はその音のおかしさに気付いていた。
大きな音に交ざって微かに女の叫び声が聞こえたのだ。
青年は地下室の扉を開き、地上へと続く階段を昇った。身体が酷く重く、骨の軋む音がした。それでも青年は階段を昇った。
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