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「…えっ!?ユズキって下の名前じゃなかったん?――ま、会社の電話で名字名乗るわな、普通」
隣に座る、ブランド物のスーツを着こなしている男が驚いたように声をあげた。
今わたしがいるのは、行った事もないオシャレで高そうなバー。
隣にいる、見知らぬこの男と2人きり。
いや、見知らぬ、と言う表現は違った。
わたしが今日から勤める派遣先の会社の取引先である、営業の佐伯さんと言う事だけは知っている。
今日の初仕事で受けた電話の相手が彼だった。
つまり、業務電話で相手の名前を知っただけの、ほぼ見知らぬ人。
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