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「お前、他の奴はいないのか?」
食べながら、そういえばと宝希は辺りを見回した。
狭い部屋に隠れる場所などなく、やはり一人暮らしのようだった。
「あぁ、私は一人で暮らしいるよ」
「……大変じゃねぇのか?」
宝希は王様として、召し使いやメイドがいっぱいいるし、一人で暮らすなんて考えられなかった。
「自分のことだけすればいいんだ。気楽なものさ」
とは言っているが、そう言った神子は何故か儚く見えた。
「ま、まあな……、確かにそうだな、楽勝だな」
宝希も呼応するが、出来る自信などない。
自分のことも満足にできないのだから……。
「ふぅ……食った食った」
「ごちそうさま。……して、宝希はこれからどうする?」
「あ? んなもん城に帰るに決まってる。柚や夏夜が心配しているだろうしな……」
実は宝希は、黙って抜け出してきたと言うより、仕事が嫌で逃げ出してきたのだから。
それを知った二人は、怒るだろうし、心配もするだろうと、宝希はわかっていた。
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