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「んだよ! お前世間のこと知らないな?」
「いや、すまない。最近蘇ったのでな。流行りとかはわからないよ」
嘘ではない。
神子は最近まで、地中深くで眠っていた。
その間、時はずいぶん流れたのだ。
彼女の知る世界は、彼女を残し、色を変えた。
「どういうことだよ、それ?」
「いや、こっちの話だ。して、君は誰なんだ?」
神子は降参とばかりに手を小さく上げ、少年に問う。
「しゃーねな。一度しか言わねぇからちゃんと聞いとけよ?」
神子が静かにコクリとうなずく。
少年はダルそうながら、しょうがなくと言ったように口を開く。
「俺はこの国の王様。宝希=ホシノ様だよ」
「……はぁ? 君が王様?」
神子は間抜けな声を出した。
半信半疑だが、何故だろう、神子はその名前を知っていた。
「宝希……星野……」
ずいぶん昔、彼女は星野宝希に会ったことがある。
目の前の宝希とは、似ているが、どこか違う。
そんな感じだった。
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