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「ど、どうだ? 味には自信がないんだけど……」
心配そうに、行く末を見守る神子。
久しぶりの料理だからしょうがないのだろうが、神子としては不味い料理は食べさせたくなかった。
それに、男と言う生き物は、こういう状況では、例え不味くても「美味しい」と言って食べなくてはならない。
「……普通に美味い……な」
しかし、宝希は驚いた。
宝希は王様となる前から、かなり贅沢な暮らしをしていた。
そんな、下の肥えた彼が認めるほど、神子は料理上手なようだ。
素直じゃない宝希はそのことを口にしないが……。
「そうか、よかった……、私も食べる」
いただきます、と言って、箸をとる神子。
そして、一品一品、少しずつ食べていく。
「うん、上出来」
そして、満面の笑み。
自分の料理が上手く出来ていて嬉しいのだ。
それに、彼女は珍しく、人と食事することがあまりなかった。
ゆえに、二人の食事。
それだけで、料理一つ一つに力をいれていた。
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