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1ヶ月前。
「あれ~、由樹ちゃん、またお尻大きくなったんじゃないの~?」
「ちょっと、佐々木さん!触らないでっていつも言ってるでしょ!」
またいつもと変わらない毎日が始まった。
常連の佐々木さんにお尻を触られるいつもと変わらない朝、それを愛想良く注意するいつもと変わらない行動…
「はあ~、由樹ちゃんもさ‥夢があったんだろ?なんで俺みたいな中年にお尻触られる仕事なんかしてるの?」
「なんですかその仕事…いいですか佐々木さん、私に夢なんかありませんよ、どうぞお尻でも胸でもお触りください?」
「はっはっは、由樹ちゃんも嘘が下手だね~?」
「嘘じゃありません、それより時間大丈夫ですか?また部長にどやされますよ?」
「ああ、ああ、分かってるよ、じゃまた」
「いやちょっとお勘定お勘定!」
「悪いね、由樹ちゃんツケといて、急がないとだから」
「はいはい、行ってらっしゃい」
佐々木さんの姿が見えなくなると、店の中は静かになった。
私は溜め息を吐いて、カウンターにうなだれた。
なんで私はこんなことしてんだろう
なんで私は嘘をついたんだろう
なんで私は…私は…
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