White Love

2/20
前へ
/22ページ
次へ
──何でこんな所にいるんだ、俺は。 暗闇の中、右腕に絡む熱にハァ、とため息をつく。 「ため息ついてちゃ幸せ逃げるよ?彼方(カナタ)」 弧を描く唇にわざとらしく塗られた朱。 ため息ついてるのはお前のせいだ、と言いたい気持ちをぐっと堪えて、はっと笑う。 名前さえ覚い出せない女に見知らぬ場所に連れて来られて、誰がため息をつかずにいられるんだ。 暗闇の中響く重低音に、甲高い悲鳴のような声。 頭がガンガンする。  
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加