第一章~血の雨を降らせる男~ 【出逢い】

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 ――17年後。  ウェールズ国、城下町。 「レイン、何をぼぅっとしている。置いて行くぞ」 「あ、あぁ……すなまい」  レインと呼ばれた男は、ローブの裾を引っ張り、頭部を覆う。  そうでもしないと人波に煽られ、自身の隠していたモノが見えてしまう。  そのままレインは自分を呼んだ男を追いかける。少しでも気を抜くとはぐれてしまいそうだ。  辺りの様子を窺いながら、レインはごった返す人込みを細身の身体でスルリとすり抜けていく。  とてもじゃないが、真っすぐに歩ける状態ではない。  喧騒、けたたましい笑い声。  そこここから漂う酒の香り。 「噂には聞いていたが……本当にすごいな」 「そりゃそうだ。収穫祭っていやぁこの国1番の祭りだからな」 「ふぅん……」 .
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