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「ウェールズ王国第2王女、シェーナ様。まだ16歳という若さで国政にも参加しておられる方だ。彼女の舞いはそりゃあ見事だぞ」
「そうだけど。あの気の強さはどうにかならないのかしら。昨夜も女中を泣かせたそうよ」
「くっ……そりゃ立派な王になるな!」
ゲラゲラと笑うロッドの前に持ってきたグラスを置きながら呆れた眼を向ける。
「笑いごとじゃないでしょう、……どうしたのレイン」
2人のやり取りを黙って見ていたレインが突然、椅子を蹴倒しそうな勢いで立ち上がった。
「ロッド、舞いはこれから何処へ移動する?」
「城門前の広場で一度止まるだろうが……どうした」
「珍しい、興味でも持ったの?」
「いや―――ちょっとな。悪いロッド、少し待っててくれ」
ロッドの返事は待たず、彼は足早に酒場を後にした。
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