94人が本棚に入れています
本棚に追加
「さぁもう逃げられませんぞ」
「早くこちらに」
「ぃッ……やだ! 離してよ!」
王宮の兵士が何故――という疑問符が頭の中で飛び交っていたが、男たちは少女の細い腕を掴みに掛かっていた。
それを目にしたと同時に、足が動いていた。
「王宮兵士が民間人を乱暴に扱うのはいけないよな、やっぱり」
「――なっ!? 誰だお前!」
「ただの通りすがりの雇われ傭兵。その手を離せ―――でないと片腕飛ぶぞ」
音もなく1人の兵士の傍らに立ち、その腕に持っていた短剣を添える。
「そんな小さな剣で何ができるって、」
「斬れるんだ、俺は。……試してみるか?」
目深に被っていたローブから金色の右目が覗き、ギロリと兵士を捕える。
「お、お前まさか―――」
ひくついた兵士の口元を見て、レインはくつくつと笑う。
そして静かにローブをはぎ取った。
.
最初のコメントを投稿しよう!