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どれにしようかと迷っている様子の幼女を見ていると、自然に彼の瞳がほんの少しだけ緩んだ――その時。
「クレア!」
「あ、ままー」
幼女の母親らしき女が、息を切らせながら駆けてくる。
うっすらと涙を浮かべているので、どうやらこの母子はこの人込みの中はぐれてしまっていたようだ。
「あのねー、おにいちゃんが抱っこしてジュースかってくれたの」
「あぁ、すみません……! ご迷惑をおかけして……」
「いや、俺がよそ見をしていてこの子のジュースをこぼしてしまったんです。何よりこの人込みだ、今度ははぐれないように。……な?」
「うん!」
「本当に……ありがとうございます」
腕に抱いていた幼女を母親のへ返すと、幼女は嬉しそうに、けれどもジュースが零れないよう器用に母親の首筋に抱きついた。
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