第一章~血の雨を降らせる男~ 【出逢い】

17/23
94人が本棚に入れています
本棚に追加
/937ページ
「ままー、ぱぱよりもかっこよかったねぇ、あのおにいちゃん」 「パパには内緒よ、クレア。実はママ、ちょっとだけドキドキしちゃった」 「うん、クレアもー」  じたばたと手足を動かして、母親の言葉に納得しているクレア。 「……でも、あの人の瞳、綺麗な色をしているのに―――見てたら哀しくなったわ」  次の言葉を聞き、クレアは母親の腕に抱かれたまま、人込みに消えてしまったレインの背中を探す。  だが、何処を見ても、どれだけ目を凝らしてもその姿を見つける事は叶わない。 「またね、あかいおにいちゃん……」  いつかまた会えた時には、とびきりの笑顔を見せるから。だから、 「もう、かなしいお顔はしないでね……」  たった数分の出会い。  それだけで、母子は彼の心の闇を感じ取ってしまったようで。  傭兵レイン。  またの名を―――“血の雨を降らせる男” .
/937ページ

最初のコメントを投稿しよう!