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同僚。
そう、彼らは2人ともある人物に雇われた傭兵。
「ところでロッドは?」
一向に黙る気配のないクロウは雇い主の名を出す。
ふらふらと宛てのない旅をしていたレインやクロウを拾い、世話をし、住む場所を与えてくれたとある酒場の店主である人物。
「……知らない」
だが、雇い主には秘密が多く、知らない事が多過ぎる。
見てくれはスキンヘッドで不精髭が生えた、強面のおやじ。
その凶悪な外見とは裏腹に、意外と町人や王宮兵士から頼りにされている場面を見たこともある。
なんとも不思議な男、ロッド。
「知らないってなんだよ、一緒に城へ行ったんだろう?」
「城には行ってない。……トラブルがあった」
「トラブル? 何だ? 酔っ払いにでも絡まれたか?」
そういう自分はどうなのか。ふわりと酒の匂いをさせているクロウを軽く睨み、首を振る。
「そんなんじゃない。クレアという少女を家まで送るだなんだで城へは行けなかったんだ」
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