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冷静沈着なレインとは違い、お調子者のクロウはおどけたように口笛を鳴らす。
それを見て、眉間に刻んだ皺をさらに濃くして睨みつけたレインに肩をすくめてみせると、ロッドの店へ向かうよう促し、足を進める。
「クレア様、ね……」
「知ってるのか?」
知ってるも何も、と笑いながらクロウは続ける。
「ロッドが昔護衛していた姫じゃないか」
「姫……!? しかし、この国の第一王女は、」
「悪い、間違えた」
へろりと舌を出したクロウに対し、低く苛立った声音で「はぁ?」と凄み、次の言葉をせかす。
「ちょっと言い方間違っただけで怒るなよ。その顔怖いからヤメテ」
「だったら何をどう間違ったのか早く言え」
「おぉ怖。あーもう、ちゃんと話すから怒るなってば」
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