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「ロッドおじさん」
「なんだお転婆娘」
ロッドの肩でぶら下がっている少女は、その冷ややかな視線には馴れているのか、ケタケタと笑いながらロッドの屈強に鍛えられた胸を叩く。
軽く噎せながら、ロッドは少女の手を掴む。
「それは痛いぞ、お転婆」
「ねぇ、あれが噂の“血の雨の男”?」
ロッドの言葉をさらりと受け流し、少女は嬉々として問い掛ける。
ローブの裾から覗く唇は、ロッドの返事が楽しみだと言わんばかりに弧を描いている。
あからさまに大袈裟なため息を吐くと同時に、肯定の言葉を漏らす。
「やっぱり! 想像してたよりもうんとカッコイイのね!」
「だからといってお前には何の関係も無いぞ」
「……嘘」
ロッドの言葉にむっとした事を隠さず、少女は唇を尖らせた。
「だって、ロッドおじさんはあたしの望みを叶えてくれるって言ったもん……」
「……」
先程の暴れ馬のような勢いを無くし、うなだれた少女に、ロッドは何度目になるかわからないため息を吐いた。
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