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レインとクロウは連れ立ち、とある酒場へとたどり着いた。
「さてと。いっちょ働きますかー」
軽い声色とともにクロウは木彫りの扉を開け、「おはよー」と言いながら中へと入っていく。
「おはようございます、クロウさん」
「ん」
カウンターにいた若者は顔を上げ、クロウの後ろに続いたレインの存在に目を丸くする。
「レインさん、今日は城に……」
「トラブルがあって無理だったんだと。だから夜は俺とレインでやるから、お前はもう上がっていいぞ」
「え……」
言うだけ言って、クロウは奥にある更衣室へと向かい、酒場の制服に着替える。
シンプルな白いシャツに、腰元には真っ黒な膝まであるエプロン。
「今日はきっと忙しいからな、気合い入れてくぞーレイン」
「……面倒臭い」
クロウに倣い、レインも渋々とローブを剥ぎ取り、更衣室に向かう。
そんな彼に、先程までカウンターにいた若者が頭を下げ、軽い足取りで店を出ていく。
「お疲れ様です」と歌いだしそうな程、嬉しそうに言って。
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