第一章~血の雨を降らせる男~ 【来訪者】

2/15
94人が本棚に入れています
本棚に追加
/937ページ
 レインとクロウは連れ立ち、とある酒場へとたどり着いた。 「さてと。いっちょ働きますかー」  軽い声色とともにクロウは木彫りの扉を開け、「おはよー」と言いながら中へと入っていく。 「おはようございます、クロウさん」 「ん」  カウンターにいた若者は顔を上げ、クロウの後ろに続いたレインの存在に目を丸くする。 「レインさん、今日は城に……」 「トラブルがあって無理だったんだと。だから夜は俺とレインでやるから、お前はもう上がっていいぞ」 「え……」  言うだけ言って、クロウは奥にある更衣室へと向かい、酒場の制服に着替える。  シンプルな白いシャツに、腰元には真っ黒な膝まであるエプロン。 「今日はきっと忙しいからな、気合い入れてくぞーレイン」 「……面倒臭い」  クロウに倣い、レインも渋々とローブを剥ぎ取り、更衣室に向かう。  そんな彼に、先程までカウンターにいた若者が頭を下げ、軽い足取りで店を出ていく。 「お疲れ様です」と歌いだしそうな程、嬉しそうに言って。 .
/937ページ

最初のコメントを投稿しよう!