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ロッドの経営する酒場【Cuore-クオレ-】
そこは一見、何の変哲もない店だが――……。
「レイン、次の任務は?」
「明日の朝1番にマーシェ婦人の護衛」
「儲かってますねぇ、我が店のナンバー1は」
「茶化すな」
カウンターに並んで立ち、グラスを磨きながらも減らず口を叩くクロウ。
そんな彼を無言で睨み付け、レインは今しがた出ていった客の片付けをする。
一見は普通の酒場。
だが、そこで働く者は皆、雇われ傭兵。
護衛の任務が入っていない時はこうして店で働き、時折ここで護衛の指名もされる。
「……このシステムってどうにかならないのか? 俺にばかり負担が掛かってる気がするんだが」
ボソリと呟けば、クロウは苦々しい表情でレインを見た。
「何それ、顔が良くて指名ナンバー1だからきついって?」
「違う」
ギロリとクロウをひと睨みし、レインは緋色の髪を軽く引っ張る。
「俺の噂ばかりが広まってるせいで、指名されてるんだ。そんなの、俺の実力じゃないのに」
“血の雨を降らせる男”
その噂がひとり歩きし、彼が護衛してくれるのならば間違いはないという概念が客に広まっている。
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