第一章~血の雨を降らせる男~ 【来訪者】

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 慣れた動作で来訪者は座り、レインにも座るよう促した。  互いに緊張しているのか、些か張り詰めた空気が漂う。  先に沈黙を破ったのは、レイン。 「俺に何の用ですか」  短く問い掛けると、来訪者は思い出したかのようにはっとなりながらも、テーブルの上で遊ばせていた手をローブに掛ける。   「失礼。このままでは話がしづらいな」  歩き方、仕種などすべてが優雅だったので一般市民ではないと思っていた。  貴族か、或いは王族か。  だが、ローブから現れた顔はレインの予想を遥かに越えた人物。 「クロウ君にはばれていたようだが……君は気付いてなかったみたいだな」  その人はにこりと微笑む。  綺麗に撫で付けられた髪。  一寸の狂いもなく整えられた口髭。  そして、きりりとした眉がその人の精悍な顔付きを際立たせている。 .
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