第一章~血の雨を降らせる男~ 【来訪者】

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 ウェールズ王国の紋章と、国王であるアグレスの印が入った通行証。  それを手に収め、少しだけ鋭い視線を彼に向ける。 「本当の用は何です? これを渡すだけならば、貴方自らここに訪れなくともいいはずだ」  通行証がSクラスだから、という理由であったとしても、国王自らがレインの元に来る事自体、おかしい。  例えSクラスであろうと、レインはただの雇われ傭兵なのだから。 「ロッドの言っていた通り、察しが良いな。  ……君に、頼みがある。受けるか受けないかは、内容を聞いてからで構わない」 「……わかりました」  受けるも受けないも、通行証を渡された今、断る訳にはいかないだろう。  そんな心情を察してか、アグレスはニヤリと笑いながら酒で唇を湿らせた。 .
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