〔episode 1〕 ペルソナ

6/49
前へ
/281ページ
次へ
次の日は昼過ぎに起床、家はやたらと静かだった。 携帯を見ると父親から着信が入っている。枕の脇にはあの青いタロットカードがあった。またなにか嫌なことでもおきんのか? そして4日後には、ばあちゃんの葬儀が終わり一段落がすんだ頃だった。突然父親の転勤が決まった。なんでも芦八市で世間でも結構話題になっている《芦八市連続殺人事件》の特別捜査員として現地で事件を調べるための転勤だそうだ。そんなこと警察庁勤めのそこそこのお偉いさんがなるもんなのか?疑問がよぎったが、あまり考えるのも面倒なのでなりにまかせた。 転勤は4月。俺達は父親に着いていかなければならなくなった。こっちで面倒見てくれる親戚が一切いないからだ。 それから一週間は引っ越しの準備に追われた。突然の転校で学校の友達らにはろくな挨拶のないまま、気づけば芦八市に向かう車の中で揺られていた。
/281ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加