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『我は汝……汝は――』
まわりが見えないはずの霧の中、気がつけば神社の鳥居の前まで来ていた。森の奥に不気味にたたずむ八十神神社は地元の大人ですらめったに立ち寄らない。
『我は汝の心の――』
さっきから12年前のことと一緒に脳裏に響く声……。
「聞き覚えがある。何か……忘れて………」
頭の中でその声の正体を探し始めた瞬間、突如として森の中に爆音が響き渡る。
同時に地面が強く揺れた。地震とは違う、外部から衝撃を与えたとわかる揺れと音。
パニック寸前の採斗が一度落ち着こうと冷静になりかけた瞬間、この現象を引き起こしたであろうモノが姿を表した。
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