第一話 白い太陽

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今日も、いつもどおりの一日が始まる。  そう思いながら窓を開け放つと、暖かく柔らかな春の陽が射し込んできた。  その光を背に、僕は朝食の準備を始める。 「しかし……誰も居ないとこんなに広いんだな、ここ……」  焼きあがったトーストを皿にのせ、コーヒーの為のお湯を沸かしながら独りごちた。  両親は、二ヶ月程前から地方に赴任している。  何故僕がそれについていっていないかというと、一言で言えば、タイミングが悪かったのだ。  父さんに辞令が出たのが三月。私学の受験はとっくに終わっていたのだ。そして僕は、専願でそこを受けていた。  僕としては、引っ越した先で受験すれば言いと思っていたのだが、両親はどうしても僕をこの私学に行かせたがった。  結果として、今の独り暮らしが僕に課せられた、というわけだ。
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