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車内に客は少ない。
これもいつもどおりのことで、僕の家からだと、ラッシュアワーに電車に乗っていたら遅刻は免れないのだ。
それにしても、この時間帯に登校してくる生徒は少ないものだ。
同じ車両には一人も乗っていなかった。
改札を出るときに、せいぜい二人見る程度だ。
駅名からも想像できるように、駅を出るとすぐに学園に着く。
本当に"目と鼻の先"といえる距離にあるその学園は、さながら迷える子羊助ける、神の両腕のような造りをしていた。というか、本当にそんなコンセプトで建てられたそうだ。
簡単に言うと、校舎が全体的に扇形に建てられているということだ。
校門を入って正面には、ちょっとしたロータリーがあり、その中心には巨大な十字架が立っている。
初めはこれにもびっくりしていたが、一ヶ月も見ていれば、自然と慣れてしまった。
人間は、慣れることができる生物だ――と言ったのは誰だったかな。
その十字架の向こう側には本校舎があり、それの左右に、十字架を囲むような形で教室棟と部活棟が建てられている。
これらの校舎を上空から見ると、校門から入ってくる生徒を、校舎=神が優しく迎え入れているように見える――と言っていたのは校長だったが。
とにかく、この学園は変な造りをしている。
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