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登校すれば朝一で話しかけてくる理沙の話題はやはり情報屋であった。
「昨日ね、少し調べてみたの」
「どうだった?」
「全然ダメ。諦めた方がよさそう」
「やっぱりないのかな?」
「ないんじゃないの?私はもういいや」
一度は雪菜もやる気になったもののやはり手がかりは何もなく、昨日のように何時間もパソコンにかじりつくのはごめんだと感じていた。
「案外簡単なものかもね?」
「私もそう思った。でも大して思い付かなかったのよねぇ」
「文字数とか関係ないのかな?」
「文字数?」
「そう、例えば情報屋が三文字で後の2つが二文字でしょ?」
「残りは漢字一文字が2つとか?」
「うん」
そこまで単純だろうか?
理沙の思い付く事は大して当てにならなそうだ。
それにまた一文字探しの旅に出て苦戦するのも、それが検討違いだった時のショックも味わいたくないものであった。
「やっぱり私はいいや。情報屋なんて最初からないのよ。単なる噂」
「噂…ね」
「何?」
「ううん。そうだよね。そんなのあったら皆見つけてるか」
「そうそう。この話はもう終わり」
丁度朝礼が始まる予鈴がなったと同時に話を打ち切った。
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